お弁当の冒険
作之助おじいちゃんが働いている会社へ毎日お弁当を届けるのが
スミおばあちゃんの日課やったんや。
朝、会社行く時にお弁当持って行ったらいいのに?
そやなぁ。何でやろなぁ。
初江おばあちゃんが、少しでもできたてを食べさせたかったんやろな。

会社へ行くまでの道が、ホンマに景色が良くてなぁ。
右が川で、左が田んぼ。のどかな風景やろ?
ところがな、途中に大きな家があったんや。
その家に大きな犬がいてな。まず、その犬に吠えられるんや。
もの凄い大きな声で吠えるから、それが怖〜て怖〜てな。
つないであるんやけど声が怖いんや。
そやから、そこをパ〜っと走って通って。
ホッとしたのも束の間。
今度は牛が何頭もつないである土手があるんや。
杭に長〜い紐でつないであるんやけどな、牛が土手にいてたら怖いやんか。
一頭や二頭じゃあらへんのや。そやから、牛が土手から降りるの待つんや。
しばらく待ってると牛が土手から降りはる。
その間にサ〜っと走って通るんや。
やっと通り抜けて歩いて行くと、今度はお墓があってな。
大きな石碑が沢山あるもんやから、横手の道でも怖くてなぁ。
そやから、そこもタ〜っと走って通り過ぎるんや。
〜お弁当の冒険 中編に続く〜
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スミおばあちゃんの日課やったんや。
朝、会社行く時にお弁当持って行ったらいいのに?
そやなぁ。何でやろなぁ。
初江おばあちゃんが、少しでもできたてを食べさせたかったんやろな。

会社へ行くまでの道が、ホンマに景色が良くてなぁ。
右が川で、左が田んぼ。のどかな風景やろ?
ところがな、途中に大きな家があったんや。
その家に大きな犬がいてな。まず、その犬に吠えられるんや。
もの凄い大きな声で吠えるから、それが怖〜て怖〜てな。
つないであるんやけど声が怖いんや。
そやから、そこをパ〜っと走って通って。
ホッとしたのも束の間。
今度は牛が何頭もつないである土手があるんや。
杭に長〜い紐でつないであるんやけどな、牛が土手にいてたら怖いやんか。
一頭や二頭じゃあらへんのや。そやから、牛が土手から降りるの待つんや。
しばらく待ってると牛が土手から降りはる。
その間にサ〜っと走って通るんや。
やっと通り抜けて歩いて行くと、今度はお墓があってな。
大きな石碑が沢山あるもんやから、横手の道でも怖くてなぁ。
そやから、そこもタ〜っと走って通り過ぎるんや。
〜お弁当の冒険 中編に続く〜
野施行 〜後編〜
お供えが全部済むと、お家に帰ってきてその人が拝まはるんや。
その人に狐と狸が乗り移って話すんやけど、それぞれ名前が付いててな。
お梅どんとお竹どん言うんや。
その二人が話すわけや。
「私の頭の上におしっこかけはる人がいる。それを辞めてほしい」てな。
昔は、男の人が立ちションをよくしはったんや。
女の人かて野原でおしっこする人がいはったんやで。
そやから、それは辞めて欲しいてお梅どんやお竹どんが頼まはったんや。

何で野施行をしてたのかって?
それはな、動物達が食べ物に困って畑を荒らしに来んように
「どうぞ食べてください」ゆうて、食べ物を分けてたんや。
昔は動物と共存してたんやで。
今の時代はとにかく人間が中心の世の中やさかい、動物が山から下りてきたら駆除することを考えるやろ?それは悲しいことや。
お互いの事を考え合える関係を築けたらええのになぁ。
これは人間同士の関係にも言えることやと思うわ。
相手のことを思いやる心は、人間が持っている感情の中でも特に大切やと思うしスミおばあちゃんの大好きな「心」や。
<野施行・完>
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その人に狐と狸が乗り移って話すんやけど、それぞれ名前が付いててな。
お梅どんとお竹どん言うんや。
その二人が話すわけや。
「私の頭の上におしっこかけはる人がいる。それを辞めてほしい」てな。
昔は、男の人が立ちションをよくしはったんや。
女の人かて野原でおしっこする人がいはったんやで。
そやから、それは辞めて欲しいてお梅どんやお竹どんが頼まはったんや。

何で野施行をしてたのかって?
それはな、動物達が食べ物に困って畑を荒らしに来んように
「どうぞ食べてください」ゆうて、食べ物を分けてたんや。
昔は動物と共存してたんやで。
今の時代はとにかく人間が中心の世の中やさかい、動物が山から下りてきたら駆除することを考えるやろ?それは悲しいことや。
お互いの事を考え合える関係を築けたらええのになぁ。
これは人間同士の関係にも言えることやと思うわ。
相手のことを思いやる心は、人間が持っている感情の中でも特に大切やと思うしスミおばあちゃんの大好きな「心」や。
<野施行・完>
野施行 〜中編〜
その人はホンマに乗り移ったはんのか何なのかよう分からんのやけど、
夢中にならはったらピョンピョンピョンピョン飛び歩かはんねん。
走らはるねん、暗いのに。
そうやってな、ず〜っと「ここは何人!ここは何人!」て
言うていかはるのや。
そのたんびに追わえていって半紙引いてなぁ。
一番最後に供える場所には昔からの大きな木があるんやけど、
その木に洞穴ができてたんや。
立派な大きな木やってんで。
神木みたいやったわ。

野施行するときには、近所の子供がついて来るんやけど
そこにわんぱく小僧がおったわけ。
するとその子、供えていったしりから食べるんやわ。
それを見てその人「供えたてをすぐに食べやがって」ゆうて
えらい怒ってなぁ。
首筋捕まえて木の洞穴へ頭突っ込まはんのや。
「これからせーへんか!せーへんか!」ゆうてな。
そしたらわんぱく小僧が怖がって
「これからしません!」て泣いて謝ってたわ。
〜野施行 後編に続く〜
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夢中にならはったらピョンピョンピョンピョン飛び歩かはんねん。
走らはるねん、暗いのに。
そうやってな、ず〜っと「ここは何人!ここは何人!」て
言うていかはるのや。
そのたんびに追わえていって半紙引いてなぁ。
一番最後に供える場所には昔からの大きな木があるんやけど、
その木に洞穴ができてたんや。
立派な大きな木やってんで。
神木みたいやったわ。

野施行するときには、近所の子供がついて来るんやけど
そこにわんぱく小僧がおったわけ。
するとその子、供えていったしりから食べるんやわ。
それを見てその人「供えたてをすぐに食べやがって」ゆうて
えらい怒ってなぁ。
首筋捕まえて木の洞穴へ頭突っ込まはんのや。
「これからせーへんか!せーへんか!」ゆうてな。
そしたらわんぱく小僧が怖がって
「これからしません!」て泣いて謝ってたわ。
〜野施行 後編に続く〜
野施行 〜前編〜

野施行(のせぎょう)ゆうのはな、野原に施す・・つまり動物にお供えするんや。
寒なったら食べ物がなくなるやろ?
他の動物もそうやけど、狐と狸が代表者になってるんや。
かやくご飯炊いておむすびにして、それからサツマイモを唐揚げにして
作之助おじいちゃんが餅箱に入れて、狐や狸がいそうなところへ担いで持って行くんやけど、儀式みたいになっててなぁ。
狸や狐が乗り移ってもの言う人がいはるんや。
それはホンマか嘘か分からへんけどなぁ、そういう人がいはったんや。
その人がな、タッタッタと歩いていかはるんやけど、その時分懐中電灯なんかあらへん。そやから提灯をぶら下げて行くんや。
「ここは何人!ここは何人!」ゆうてな。
何人っていうてるけど、動物のことやで。
スミおばあちゃんは半紙を四つ切りにしたものを持ってて、
言わはった場所に半紙引いてその人数分だけ載せるねん。
〜野施行 中編に続く〜
作之助おじいちゃん 〜後編〜

それから、作之助おじいちゃんは魚釣りが大好きでなぁ。
沢山竿を持ってはったんやけど、戦火で焼かれてしもうたんや。
そやけど、戦争が終わったらまた釣り竿を手に入れて魚をよく釣ってた。
川では鮒釣り・ドグロ釣り、池ではボラ釣り、海ではハゼ・セイゴ釣り、
イカにカニ、釣り立ての新鮮なものをよく食べさせてくれたよ。
作之助おじいちゃんが会社に行ってる間に、初江おばあちゃんと一緒に魚の餌にする「ミミズ」を取りに行ってたんや。今の子供は、虫もよう触らん子が多いみたいやなぁ。昔はミミズなんて全然平気やったんやで。
とにかく豪快なおじいちゃんやったんやけど、一つだけ苦手なものがあったんや。
それは雷さん。
雷が鳴ると、大事な釣り道具もほったらかして逃げて帰るぐらい怖がってなぁ。
「へそ隠せ!」て本気で言うて怖がったはったんやで。

スミおばあちゃんの知る限り、唯一の弱点やったなぁ。
<作之助おじいちゃん・完>

作之助おじいちゃん 〜中編〜

作之助おじいちゃんも初江おばあちゃんも、ホンマよく可愛がってくれた。
大事に大事に育ててくれたんやで。
それから九年の月日が経って、義弟が産まれた。それが勝のおっちゃんや。
勝は「ネェー、ネェー(姉ちゃん、姉ちゃん)」と言って何処へ行くにも金魚のフンみたいにくっついてきてた。
夏になるとおじいちゃんが西瓜を買ってくれるんや。
今の西瓜はあまり甘くないけど、スミおばあちゃんが子供の頃の西瓜は、真っ赤で甘く、棚落ちしててジャリジャリして美味しかった。畑でもぎたての西瓜やで。
その西瓜を舟で運んできはるんや。
おじいちゃんが「分けて!」と声を掛けると川へドブン!と投げはる。
その西瓜を、おじいちゃんが川を泳いで取りに行くんや。
今では考えられへんやろなぁ。
井戸で冷やした西瓜は凄く美味しかったわ。
作之助おじいちゃん 〜前編〜

作之助おじいちゃんは、スミおばあちゃんのお父さんのことや。
そやけど作之助おじいちゃんの話をするには、スミおばあちゃんの生い立ちを
聞いてもらわなあかんなぁ。
子供は兄が五人、姉が二人。そこへ双子が産まれたんや。
その双子の一人がスミおばあちゃん。
双子のもう一人の赤ちゃんは、作之助おじいちゃんの家に貰われたそうや。
ところがその赤ちゃんが亡くなってしもうた。
一方スミおばあちゃんは夜泣きがひどかったせいで、家を五・六軒たらい回しにされてたんやて。
そんな時に、お寺の和尚さんが
「その子が生きていると思って、この子を育ててくれへんか?」
と言わはったそうや。
スミおばあちゃんが作之助おじいちゃんの子供になったんは、そういういきさつがあったんやなぁ。
スミおばあちゃんの本当のお父さんは、スミおばあちゃんが小さい時に亡くならはった。作之助おじいちゃんに抱っこされて、亡くなったお父さんに会いに行ったんや。棺桶に入ってる本当のお父さん。今でもハッキリ覚えてる。
スミおばあちゃんの本当のお母さんは、七十八歳で亡くなった。
お見舞いに行った時のことや。
お母さんが「堪忍してや、一日とて忘れたことはなかった」と
泣いて謝らはったんや。
この時に、スミおばあちゃんが貰われっ子やと分かったんや。
なんとなく気付いてたんやけど、ハッキリ分かったのはこの日やったんや。
お母さん、ずっと心に引っかかって辛かったやろなぁ。
このことがあって、作之助おじいちゃんと初江おばあちゃん(作之助おじいちゃんのお嫁さん)が本当の娘として大事に育ててくれたありがたみを改めて感じた。
スミおばあちゃんは、いつも口答えばっかりしてたから
「これからは口答えしんとこ」と思ったんよ。
でも、三日坊主やったなぁ。本当の娘になってしまってたということやろな。
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